バイヤー・ホーリーのええ物語り

バイヤーの仕事を通して、たくさんの素晴らしいものとの出会いがあります。その商品の持つデザインの由来や素材への拘り、生産地の背景にあるストーリーを独自の視点で伝えていきます。

日本伝統文化の着物。その技術を駆使したメンズアクセサリー。

古くから日本在来の衣服、着物。現在では、日本の民族衣装とも言われているようです。

その伝統的な着物を約65年に渡り守り続けてきた呉服商社、近江屋株式会社が伝統的なキモノの技術と現代のデザインをつなぐために誕生したブランドSANJIKUを紹介いたします。

SANJIKUとは、「三軸」という文字から由来しています。

その三軸とは、字の如く三方向に走る糸が複雑に絡み合ってできた特殊なシルクの布地で、今から約40年ほど前、京都市のはずれ亀岡で生まれたそうです。そのシワになりにくく伸縮性に加え強度があるため着物の帯として使われてきました。シルク独特の自然な光沢と複雑な模様と繊細な色の移り変わりが魅力の素材であるようです。

そして、歴史の古い京都には1000年以上前に誕生したといわれる「京くみひも」があります。糸を交互に交差させて組みながら紐に仕上げていくというもの。これは、イタリアのトーションレースの作り方とも同じです。日本の組紐と同じく組んで織りあげるイタリアの織機を見た帯職人がこの織機をヒントに組み織りの技術を応用して帯をつくりたいと思ったのが三軸のはじまりであるようです。

そして、出来上がった織機は直径5m、高さは3mにもなる巨大な円形の織機。最初は6台あったこの織機も、今では京都に2台残るのみの貴重な存在。環状線上に差し込まれたボビンの数は約480本。その全てのボビンが右へ左へと交差することで生地が組み織られていきます。三軸ならではの繊細な色のグラデーションや複雑な模様を作っているのは細かい穴がたくさん開いた紋紙と言われるもの。今ではデータ化されたものが主流ですが、このレトロな織機は紋紙でなければ柄を出すことができないそうです。

こちらが織機の写真です。

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出展 : SANJIKU|OMIYA CONNEC

その織機による伝統的な技術と現代的なデザインを融合させてつくられた、ビジネスマン必見のメンズアクセサリーをご紹介いたします。

それではご覧ください。

まずは、三軸の織機で繊細に表現された繊維によるグラデーションの色合いを特徴とし、遊び心のあるお洒落な大人の男性にピッタリなネクタイです。

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次に、胸元にも遊び心を。

ポケットチーフ。

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いつもと雰囲気を変えたいときには。

蝶ネクタイ。

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着けるとこんな感じです。

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SANJIKU × Denovembre|メンズアクセサリーコレクション|OMIYA CONNECT

特殊製法ならではの生地の色合いと立体感は見事なものです。商談先や打合せなどで「そのネクタイお洒落ですね!」と会話を膨らむきっかけづくりに。なんてことも、期待できたりするかもしれません…

カラバリも3色あり、スーツに合わせて選べるのも、グットです。

そして、このメンズアクセサリーをデザインしたのは、フランス人デザイナーのJudith Bordin。国立総合芸術大学を卒業後,刺繍スタイリストとして高級服飾メーカーに勤務。2011年,インドにあるフランスインスティテュートのレジデンスに滞在中に制作した,ファッションアクセサリーを皮切りに,自身のブランドDenovembreを立ち上げ,高品質な商品を生み出し続けている方です。

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出典 : COLLABORATIONS|DESIGNER|OMIYA CONNECT | by 近江屋株式会社


最後に、このSANJIKUを立ち上げた背景には、下記に綴る想いが詰まっているそうです。

私たちは「日本の伝統文化を支える創り手を応援する」という一文を理念に掲げています。職人たちが持つ伝統技術を絶やさないためには。日本が持つ文化を世界の方々に知っていただくには。その答えがキモノと現代的なデザインの融合でした。

日本の伝統技術を守るために試行錯誤し、新たな活路を見出した先駆者の知恵と努力。その意思を少しでも多くのひとに伝えるパイプラインになっていけたら…と、自分にとっての仕事の意義を再認識できた出会いでありました。